エックス線の管理 エックス線管の構造

エックス線の管理

1:フィラメントとターゲット

実際のエックス線管の構造は、陰極となるフィラメントの部分は、電子を効率よく発生させる役割を担っている。通常、電気抵抗が高く、融点が高い(3400°C)タングステンの細いワイヤーが用いられます。裸電球のフィラメントと同じように、ここに10V~20V(ボルト)程度の電圧をかけて大電流を流して白熱状態にすると、もともと金属内に存在する自由電子が熱エネルギーをもらってその一部が高温となったタングステン表面から飛び出します。これを熱電子といい、発生する電子の数はフィラメント電流を変えることで制御されます。

フィラメントで発生した電子は陽極との間に印加された高電圧(管電圧)で加速されて陰極であるターゲットに衝突します。衝突直前の運動エネルギーは、電子ボルト単位の定義から、例えば管電圧が100Vなら100eV、管電圧が200kVなら200keVとなります。

この運動エネルギーはターゲット内で失われ、最終的に熱またはエックス線に変換されます。通常の工業用エックス線装置では、後者の割合は高々1~3%しかないのでほとんどが熱になります。従って、ターゲットは高融点金属であるタングステン(融点3400°C)やモリブデン(約2600°C)が用いられ、また、ターゲットを冷却するために熱伝導性の良い銅で囲んで真空管の外側で冷却したり、回転ターゲットにするなどの工夫が施されています。

2:付属機器

投影撮影などに利用する場合、高画質を得るためには、発生するエックス線源の大きさは点線源とみなせるくらいの小さいほうが望ましいです。そのために両電極間を流れる電子線を絞るための静電レンズの役目を果たす集束カップ(集束筒)が取り付けられています。また、ターゲットは斜めにカットしてあり、実際に加速された電子線が当たる領域(実焦点)をエックス線の利用方向から見た場合(実効焦点)に小さくなるようにしてあります。

3:付属回路

工業用の電源は通常100Vか200Vであるが、エックス線管を動作させるには、フィラメント用低圧電源(10~20V)、両電極間に印加する高圧電源(~数100kV)が必要となります。一次側と二次側の電圧比は、鉄心に巻かれたコイルの巻数に比例するので、フィラメント用は降圧変圧器、管電圧用は昇圧電圧器を用います。なお、エックス線管の陰陽電極間を流れる管電流の大きさは、フィラメント電流を変えることによって制御されます。

エックス線管に関わる電源系は、簡略化すると下記のような構造になっています。

エックス線管-高圧電源-制御器-電源

比較的出力の小さなエックス線装置では、X線管と高圧発生部本体が一体となっていますが、大出力の工業用エックス線装置では高圧発生部が分かれており(分離型)、エックス線管との間は高圧ケーブルで接続されています。

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