エックス線の管理 エックス線の発生

エックス線の管理

エックス線の発生原理

1:制動放射

エックス線は、簡単には、加速した電子を物質に当てることによって発生させることができます。より効果的に発生させるために、通常、真空管の中に電子発生部と金属を配置し、これらを電極として高電圧を印加します。

電子発生部(陰極)フィラメントで発生した電子は加速されて金属(陽極)にぶつかります。

エネルギーの高い電子が物質内に入って原子に近づくと、軌道電子との間に働く電気の力(クーロン力)を介して軌道電子にエネルギーを与え、入射電子は運動エネルギーの一部を失って方向が変わります。(空間的に接触するわけではないのですが、クーロン衝突といいます)。この結果、軌道電子は励起または電離されます。入射電子は近傍の原子(軌道電子)と衝突を繰り返し、すべてのエネルギーを失って止まります。電離された原子は周りの自由電子を取り込み、また励起された電子は余ったエネルギーを放出し、最終的に熱という形で物質に吸収されます。

入射した高エネルギー電子は、ごくまれに軌道電子をすり抜け、原子核の近傍に達することがあります。この時、入射電子と原子核の間には引力も働きますが、原子核は電子の数万倍以上(一番小さな水素原子核でも約1800倍)も重いので、入射電子は強いクーロン場によって減速され軌道を曲げられます。この時失ったエネルギーは電磁波の形で放出されます。この現象は、ちょうどブレーキを踏んだタイヤから出る煙のようだということで、制動放射と呼ばれ、放出される電磁波を制動放射線(制動エックス線、阻止エックス線)と言います。

2:特性エックス線

加速された電子が引き起こす電離は、確率的には外殻電子が多いが、電離エネルギーを超える場合には内殻電子を電離することもあります。K殻電子が電離されると、電子軌道の配置が不安定になるので、より外側の軌道(LやM)の電子がこの穴を埋めます。

外殻とK殻の間にはエネルギー順位の差があるので、この差に相当するエネルギーを電磁波として出すか、あるいはより外側の軌道電子を放出します。前者の電磁波(エックス線)はある決まったエネルギーを持っており(すなわち単色エネルギー)、このエネルギーは元素によって決まっているので、特性エックス線(固有エックス線)と呼ばれています。なお、K殻およびL殻に空位が生じた時に放出される特性エックス線を各々、Kエックス線、Lエックス線といいます。

加速された電子が物質に入射した場合のエネルギーの移動をまとめると、下記のようになります

=ターゲット内での電子のエネルギー移動まとめ=

①電子の運動エネルギー ②衝突 ③励起 ④電離 ⑤外殻 ⑥内殻 ⑦オージェ電子放出 ⑧特性エックス線 ⑨制動放射 ⑩制動エックス線

①→②→③→熱

①→②→④→⑤→熱

①→②→④→⑤→熱

①→②→④→⑥→⑦→熱

①→②→④→⑥→

①→⑨→

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